
母乳の出方には個人差がある。可能な限り母乳で乳児を育てるほうがよいが、必要以上に授乳の方法に関して心配はしないほうがよいとされる[2]。ユニセフは金のリボン運動と称して母乳育児を推奨している。出産後、母親から最初に分泌される初乳には、IgA抗体が多く含まれ、乳児を細菌などの感染から守る働きをしている。ただし、母乳は新生児の生命維持に必須のものではなく、母乳で育てられた乳幼児とミルクで育てられた乳幼児に統計上、健康面での差異はない。 母乳が不足している場合は、ミルクを足す。現代のミルクは栄養面で母乳に近くなっているため、ミルクを足すことで乳児に対して後ろめたい気持ちを持つ必要は全くないとされる。
5ヶ月に入る頃から、離乳食を考える時期に入る。乳児は母乳やミルクを飲む際に上あごや舌を用いて母親の乳房や哺乳瓶の乳首をしごきながら飲むが、この頃からしごいてお乳を飲むことが自然にできなくなってくるためである。これは、固形物を食べられるようになるために、本能として具わっているしくみである。果汁やスープなどの液体で、母乳やミルク以外の味のするものからはじめて、粒のない流動食、少しずつ粒を大きくしていきながら、乳児の飲み込む力や噛む力を育てる。ただし、様子をみながら授乳と並行に行い、後半になるほど授乳量(回数)を減らしていく。3食とも離乳食となり栄養が充分に摂れていることが確認できると、断乳を検討しても良い時期となる。12ヶ月頃が目安ではあるが、個人差が大きく、早ければ良いというものではないとされる。 以前は3ヶ月頃から離乳食を始める、卵も早くから与えていたが、最近では早くから離乳食を始めたり、卵を与えたりするとアレルギーが出やすいなどの報告があり、ゆっくりはじめる傾向にある。 授乳期が終わる事を断乳というが、一般的には親の意思でやめる場合が多いので、子供が自分で飲まなくなり終了する事を卒乳と呼ぶ。
母乳栄養は母親にとっても利点がある。授乳の際分泌されるホルモンには気分を落ち着かせる効果があり、育児に前向きな気分を感じさせる。出産のできるだけ直後から母乳栄養を行うと、分泌されるオキシトシンが増加するため子宮復古を促進し、出血を抑える。母乳を生成するのに脂肪が消費されるため、ダイエット効果もある。頻繁に授乳している間は排卵や月経の再開が遅れ(乳汁分泌無月経症候群参照)、妊娠しにくい。そのため、母親の貯蔵鉄を回復し、子どもが授かる間隔が自然になる。母乳栄養を行った母親は、出産後骨の再石灰化が進むことも知られている。閉経前後を問わず、卵巣腫瘍や乳癌のリスクが減少することも知られている。
2007年の世界がん研究基金とアメリカがん研究協会による報告では、母親の乳がんリスクを減らすとし、6ヶ月以上の母乳哺育をがん予防のため推奨している
母子の絆はとても重要で、80%の母親がマタニティブルーを経験している。母乳栄養を成功させるには、パートナーのさまざまな援助が重要である([14])。そうすれば父子の絆もまた強くなることであろう。
母子栄養は、パートナーと子どもとの間の人間関係に大きく影響しうる。父親によっては、奥方が授乳している間、のけものにされているような感じを味わうことがあるようだが、授乳の一部始終を見、家族の絆を強化する機会だと感じる父親もいる。おそらく授乳は出生に関わる健康問題と並んで長時間を要する。母親の時間が減る分、父親と家族にとってはやらなければならないことが増え、プレッシャーになる。多くの父親はわりとその点のサポートを嫌がらないので、却って家族の絆が強まるのである。「嘆きのボイン」月亭可朝(1969年12月発売、80万枚の大ヒットに)は妻の愛情とその母性と女性性の象徴である乳房が子どもに独占されたことを嘆く歌であり、当時大きな社会的反響を生んだ。2004年妻の愛情が子どもに向かうことに嫉妬した夫によって妻が刺殺される事件が起きている。
母親が不在の間も、予め搾乳しておいた母乳を用いれば母親以外の養育者の手で母乳栄養を行うことができる。もっとも、不在時間分の母乳を予め搾乳し保存できるだけ乳の出がよくないと無理があるし、母親が養育者と引き離されている場合もうまくいかないだろう。これらの場合は養育者は一時的にか恒久的にか、他の手段を探さざるを得ない(人工栄養、混合栄養、他の母親の母乳の利用等)。現在ではさまざまな搾乳器があり、購入する事もレンタルすることもできる。これによってワーキングマザーも母乳だけでわが子を育てることが可能になった。
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